「………因幡」


はは、と笑う、暗闇に映える左腕の無いシルエット。


「………俺の名前。本当の名前じゃないって分かってた?」


「…?」


「養子に出る前の名前だよ。…あんたも知ってるんじゃない?」


血に酔ったままの、おかしな精神が笑みを作る。


「…さぁね」


「相変わらずその笑い方…綺麗だよ。最高。荊徒紫苑」


ふ、と眉をひそめる。


「…本題は何だ。面倒臭い。早く言えよ…斬るよ?」



おーこわいこわい、と因幡は笑う。




「俺は桐堤梓。あいつの弟だよ」


きり、づつ。