「崩壊前。凄かったよな、今より断然文明進歩してたし。この街の線路あるだろ?あそこには本当に電車が走ってたんだぜ。俺も、ガキの頃乗った」


電車。



政府崩壊以前は当然のように走っていたという電車すら、現在の文明では作ることはおろか走らせることも出来ない。


「……俺はないな」


「なんか人が多かったな。こんなに人が居るんだ、って思う」


懐かしむように、因幡は言った。

「……へぇ」


素っ気ない返事を返すと、因幡が苦笑する。