汚れた頬を拭いた、それだけで紫苑が壮絶に美しい容姿の持ち主だとわかった。



きっと…本当は真っ直ぐな感情を持っているのかもしれない。そう直感する。



『あぁ、苗字。センス悪いけど、名乗ってくれるか?』



『…言ってみろ』



『荊徒。いばらづ、だよ。荊、は紫苑を守るもので。徒っていうのは趣味悪い意味だってあるけど、文字を分解してくとさ、一つ一つ進む、って意味を含んでんだってさ。本当は《ず》って読むんだけどこっちのがゴツくてかっこいいし。……ダメ?NG?』



『……いばらづ、荊徒、紫苑』