天井を見上げて朝のことを思い出す。
わたし……朝、倒れたんだっけ?
ゆずと会って、話をして……いろんなことを考えてたら呼吸が苦しくなったんだよね。
それは覚えてるんだ。
だけど、意識を手放して、誰がここまで運んでくれたのかとか全く覚えていない。
気づいたらここにいた……。
「戸川!」
バタバタと足音がしてカーテンが開くと、いつもと変わらない岡田がいた。
「あ、先生……」
「大丈夫なのか? 桜の下で倒れたって聞いたけど、もしかして……」
岡田が声を潜めた。
「……ううん、ゆずは関係ないよ。多分、貧血……かな」
そう、笑顔を見せる。

