あれ?
今、ゆずがいた気がしたんだけど……気のせい?
ここは……保健室?
微かににおう消毒のにおい。
ひらひらと揺れる白いカーテンがその匂いをかき消すかのように春の匂いを運んでいた。
「戸川さん? 気がついた? 大丈夫?
多分、貧血だと思うけど……めまいとかしてない?」
シャーっとカーテンが開いて保健室の真山先生が顔を出した。
貧血……めまい……。
「あ、はい。大丈夫……です」
「そう? ん、今日は帰ってゆっくり休みなさい。しっかり睡眠をとること、いい?」
「はい……」
静かに返事をする。
「じゃぁ、岡田先生、呼んでくるわね」

