「何?」 「何って、近すぎる……」 とぼけた顔で何? はない。 普通に考えておかしいでしょ? 「そんなこと……」 「あ、予鈴だ! 行かなきゃ! ゆ、ゆずくんは?」 こんなところで油売ってる場合じゃない。 あと5分。 それまでに教室に行かないと遅刻になる。 ……それだけは避けたいっ! 校舎から聞こえる予鈴にわたしは立ち上がった。 でも、ゆずくんは立ち上がることはもちろん、動こうともしない。