「で? 今日もゆずに会ったのか?」
「あ、今日は会わなかったよ。雨だし来ないんじゃないの? てか、卒業生なんでしょ?」
「ゆずから聞いたのか?」
「うん。学校の桜が好きだから来てるって言ってた」
「そう……か……」
わたしの言葉に岡田が言葉を詰まらせた。
ふっと寂しそうな表情をした岡田が見えた。
初めて見た岡田の顔。
いつも厳しくて目を光らせてる岡田の顔とは別人の顔だった。
「戸川、チョコレート食えるか?」
急に岡田が立ち上がって、机の一番下の引き出しを開けて、ガサガサと音を立てた。
「うん、好きだけど……って、何それ」

