「うん、咲来のこと」
「咲来」
「詳しくは聞いてねーけど……咲来から、昔、相当春のこと傷つけたって後で聞いてさ。
ずっと謝りたかったんだ。古傷をえぐるようなことしたって……」
「あーもうそれはいいよ。昔のことだし……」
昔のこと。
そう、思えるようになったのも史哉が咲来を紹介してくれたおかげ。
今の咲来に会っていなかったらそんなことすら忘れてただろうけど、恋はしてなかった。
「……オレがさ、口出すことじゃねーかもしれないけどさ。あいつ、マジで春のこと好きでさ。口開けば春の話ばっか」
「女子高生みたい」
思わず笑ってしまった。
でも、そこまでわたしのことを考えてくれてるのかと思うとうれしくもなる。

