「うれしそうだな……」 「そりゃーね。ゆずに会えるかもって思ったらうれしくもなるよ」 無意識に笑顔になるわたしに対して咲来は顔をしかめる。 「……春の親父さんより手ごわい相手だな……」 「は?」 「何つーか……」 「咲来さ……何でわたしが咲来をここへ連れてきたか分かってる?」 「へ?」 全く検討のついてなさそうな咲来。 ま、わたしもずーっとうやむやにしてたからいけないんだけど……。 一歩一歩、桜並木に吸い込まれるようにわたしは歩き出す。