「体力ないんじゃない? あれ? 咲来って、足早かったよね?」 「お前、いつの話だよ……年々、落ちてる……」 「うわーおじさんくさいこと言わないでよ」 そう、桜の下で笑い合う。 「……ここにも、ゆずさん、いるんかな?」 咲来が桜を見上げる。 「どーだろ? でも、いる気がする。あの辺りにいそう……」 わたしのちょうど上にぽっかりあいた桜の枝。 あの日……ゆずが落ちてきた桜の木に良く似ている。