「咲来! 早く早く!」



わたしは咲来の腕を掴んで走り出す。



「そんなに急いだって桜は逃げてかねーって!」


「だって早く見たいんだもん!」



バタバタと走るわたしと咲来。



5月に咲く桜の匂いがそこまできている。