「春さ、その顔、傷つくんだけど……」 軽く睨まれて笑顔を作る。 わたしがどんな顔をしてたのか分からないけど……。 冗談で返せなかったのは事実。 「オレさ、春みたいに将来、何がしたいってのがないんだ。ぶっちゃけ、今は模索中。だから夢がある春がうらやましい」 少し淋しそうな咲来。 意外だった。 何事にもしっかりしてて、進学校にいる咲来。 ちゃんと自分の将来を見据えて学校に入って勉強してると思っていた。 でも……咲来は自分のやりたいことを一生懸命探してるんだね。