「もうちょっと歩くか……」 しばらくして、咲来がわたしから離れると手を繋いだ。 ゆずとは違う男の人の大きな手。 すっぽりと埋まってしまうわたしの手から温かさが伝わる。 やさしい咲来の気持ち。 手からにじみ出る咲来の人柄。 それがわたしを落ち着かせてドキドキもさせる。 わたしがこんなにドキドキするのはいつ以来だろう……。 小学生の時。 咲来のことを好きになった時以来かもしれない。 忘れていた恋心を咲来がよみがえらせてくれたのかもしれない。