「春香!」 後ろからお母さんの声が聞こえて足を止める。 まだ何かあるの? 「……海外研修、楽しんできなさい」 「え……?」 思いがけない言葉で耳を疑う。 思わず振り向くと、そこには笑顔のお母さんがいた。 「春香の人生、後悔しないように生きなさい。あなたの夢に少しでも近づけるなら、頑張って行ってきなさい」 「お母さん……」 「わたしもお父さんも……ゆずもそれを願ってるわ」 そう、ゆずのお墓を見つめたお母さん。