「それ……でね。お母さんもゆずがいなくなってすごく辛くて苦しかったって…… でも、ゆずが大切なものを残してくれたんだって……」 「……大切なもの?」 その言葉で岡田が顔を上げた。 「うん……それが…………わたし……」 「……わたし……って、は?」 理解していた素振りの顔が大きく歪む。 今までに見たことのない、岡田らしくない顔で思わず吹き出す。 「お前、笑い事じゃねーだろ! 戸川って……」 「ごめん……」 怒る岡田もまた笑えてくる。