化学準備室。 わたしの一番苦手だった部屋が少しはそれを和らげる。 そっとドアを開けるとあの時と同じコーヒーの匂いが漂う。 「お、戸川……」 「てかさ……何で化学室なのにコーヒーの匂いなのよ……」 「薬品臭いよりマシだろ?」 「そうだけど……」 「ま、飲むなら座れよ」 苦手だった岡田ともこんな風に話せるようになった。 もしかしたら、ここが落ち着く場所になっているのかもしれない。