別に本当のお父さんが誰かなんて知りたいとも思ったことはなかった。
今のお父さんに愛されているのも感じているし、お母さんが話したくないんだからそれ以上は聞けないと思っていたから……。
もしかしたら、この先、本当のお父さんを知りたいと思ったかもしれない。
でも、その時だったらこうやってゆずに出会わなかっただろうし、ゆずの良さだって分からなかったと思う。
お母さんから話だけ聞いて、もしかしたら死んじゃったゆずを恨んだかもしれない。
だけど、わたしは今、ゆずを知って、二人の愛を知って……。
本当に愛されて産まれてきたんだと感じる。
ゆずは……お父さんはいなくなっちゃったけど、お母さんを守り、わたしを宿してくれた。
「お父さん、お母さん、ありがとう……」
自然と出た言葉にお父さんとお母さんがわたしを抱きしめた。

