Ｇｏ ａｇａｉｎｓｔ ｓｔｏｒｙ

ジャックが中に入ると目の前には２人が不思議な物に乗っていた。

さらにその不思議な物の前方部分が光り、あまりの眩しさにジャックは一瞬ひるんだ。

その隙にタカは鉄馬を走らせたかと思うと、一直線にジャックに向かって行く。

（駄目だ！ぶつかってしまう！）

ノゥンが魔法を使おうとしたとき、急に鉄馬がフワッと地面から離れた。

タカはニヤリと笑うと、背中の銃抜き、窓ガラスに向けて放った。

ガッシャーーン！

窓ガラスは粉々に砕け散り、その中を飛んで行く。

「今のもな、親友が作ってん！」

タカは嬉しそうにノゥンに言った。





ノゥン達が飛び去った後、ジャックは申し訳なさそうにボスに報告をしていた。

「気にするな。相手はイーグルアイだ。どこに行ったかは想像つく。」

ボスは動じてないようだった。

「あれがイーグルアイねぇ…まだまだガキに見えたけど？本当にそうなのかい？」

女はふわぁーとあくびをしながらボスに聞いた。

「あぁ、あの黒髪にピアス。そして銀の長銃と茶色い眼光の鉄馬。間違いなくあいつはイーグルアイだ。」

ボスはどこか遠い瞳で夜明けしかかった空を見つめた。

タカは少しスピードを緩めると色々な話をノゥンにし始めた。

自分は昔盗賊に襲われ、両親を殺され、たった１人の兄弟は行方不明になったこと。

今は、兄弟を探しながら親友と一緒に暮らしていること。

賞金稼ぎとしては有名で、鉄馬の出す光りからイーグルアイと呼ばれていること。

タカは初めて会ったはずのノゥンに驚く程心を開いていた。

ノゥンもまた、初めてこんなに人と喋り、胸の奥が熱くなるのを感じた。

３０分ぐらい鉄馬を走らせると、目の前に大きな藍色をした水たまりが広がった。

「あんな大きな水溜まりは初めてです。」

そう言ったノゥンにブッっとタカは吹き出した。

「あれは海やねん。水溜まりとはだいぶちゃうなー」

と笑いながら教えてくれた。

そして崖まで来たと思うと、さらに海に向けて飛んで行く。

（まさか、海の中に家？）

とノゥンは思ったが、それが間違いであることがわかった。