母は、裕子のメールや電話での受け答えから、おおよその察しはついていた。 裕子を整形外科に連れて行き、指の骨折は勿論、肋骨に二本のヒビと、身体に数十箇所の打撲傷があると告げられた時は、動揺を隠しきれなかった。 「裕子、直哉さんの所へ行くのは駄目。 別れるしかない。 もう、帰すわけにはいかないよ。」 何度も注意する母の言葉を遠くに聞きながらも、裕子は直哉の心配ばかりをしていた。