目の前には背の高い、若い男の子が立っていた。
「すいませーん。今日からお世話になります、坂倉って言います―…ってあれ?!」
あたしの顔を見るなり、驚きを隠せない様子の突然の訪問者さん。
見たところ、同い年か1コ上ってとこだろうか。
あどけなさが残った感じからいっても大学生ではなさそう。
金色の髪の毛・耳についた大量のピアスを見る限り、あたしの知り合いではないのは確実だ。
「おっかしいなぁ~大家さんに言われた通りの部屋なんだけどな……」
あの――まったくもって話が読めないんですけれど?
なにやら、腕を組んで考え込んでしまった目の前のチャラ男くん。
「あのー…」
「ま、いっか~」
あたしが、口を開いたとほぼ同時。
何かを吹っ切るように、突然、男の子が喋り出した。