峪下は虚ろな瞳で俺を見つめると、口角を上げて妖しく笑った。 峪下は、何処かいつもとは違う雰囲気で、威圧感の様なものを感じる。背中に嫌な汗が流れた。 「あ、遥君。やっぱり此処に居たのね。梓ね‥‥探していたんだよ、遥君のこと」 頭の中で危険だという警鐘が響く。 その場にいる間、空っぽの胃の中から胃液が逆流してくるような不快感を感じていた。 「ねぇ‥遥君‥‥」 速くこの場から逃げないといけない気がするのに、足が地に縫い付けられたかのように動かない。