扉を開くと、目の前に大きな柱時計が飛び込んできた。
正確には、両端から降りてきた階段が交わった場所、つまり踊り場に柱時計が置かれてあった。
それが丁度入り口から入ったすぐに目につく、というのである。

中に入った若松は、しばし辺りを見渡した。
いつの間にか脈が落ち着いていた。

大きいシャンデリア…
まるで小さなダンスホールを思わせる部屋造り…
右手の部屋は、食堂か…

「わぁ〜…何ていうか…西洋のお城みたい…。」
後から入ってきたカヤがポカンと口を開けて部屋を眺め回している。
若松はそれを横目でみた。

確かに…言われてみるとそれっぽい。外は日本のド田舎だが中は西洋。まるでココだけ次元が違うような…。

「ワンッ!!」

…そう、ワン…


…!?…