クボタは覚悟が決まった顔をしていた。

今、斉藤に何かを言うのはものすごい度胸がいることだ。

さすがクボタだ。

「学校をぶっ壊す理由が分からないんだよ。みんな」

クボタの言葉は確信だった。

みんなの確信だった。

そう。

何で学校を壊すかが分からないんだ。

「みんなムカついてるじゃなかったのかよ」

斉藤が言い返す。

「たしかにムカついてたよ。だけどお前がきてからは、髪とか服装とか自由じゃん。教師に嫌がらせも受けねえ。このままでいいんじゃねえか?」

クボタが言った。

みんな無意識にうなずいていた。

斉藤の目に薄っすらと涙が見えたような気がした。