「ちょっと待ってよ!!」 無視。 「かわいい幼馴染が、呼んでるでしょ?!」 無視。 「待ちなさいよぉ!!バカ郁!!」 さっきまでは遠かった声が、だいぶ近づいていた。 田んぼのあぜ道。 自転車を押して歩いていた俺は、ようやく立ち止まる。 背中に何かがぶつかった。 「イタッ!!急に止まるなっつの!!」 俺はようやく、後ろを振り返る。