オレより先に
南のやつが
杏に近づいていった。





ドクン…

と心臓が嫌な
音をたてる。





そこですぐに
走り出せば良かったんだ。


でもオレは
動くことが
できなかった。





そのまま見ていると
南は自転車の
荷台に杏を
乗せる気らしい。







杏…。

断るよな…?



前にオレを
殴った時みたいに
そいつを殴ってやれよ。



そいつ殴られねえと
わかんねえんだよ。



頼む…!

断れ!

オレに…
気づいてくれよ…!

こっちを見てくれ…!!