その日の夜…
「おい、杏」
「なに?
ッて、わあ!
星也さん勝手に
部屋入らないでッて
何回言ったら…」
「お前、南和斗に
惚れないか?」
「はッ…?」
いきなり真剣な
口調の星也さんに
言葉を失うあたし。
「だから、
南和斗には絶対
惚れないッて
言い切れるか?」
「え?うーん…」
絶対ッて言われると…
人間なにがおこるか
わからないもんね…。
"オレだって
好きでお前と
婚約したんじゃねえ"
「ない!絶対ない!!」
あいつのあの言葉が
あたしの決意を
固くしたのだった。
でも…
星也さんがなにか
不安気な顔をしていた
ことにあたしは
気づかなかった。

