「じゃ、帰る」



立ち上がった南くんが
あたしに向き直る。



「オレだって
好きでお前と
婚約したんじゃねえ」



なッ…!?



あたしの中の
なにかがキレそうに
なった時、


あたしの前に
星也さんが
立ちはだかった。



「まて、くそガキ」



星也さんの声に
顔だけ振り返る南。



「ふざけんな。
杏は最高の女だ。
お前なんかに
絶対渡さねえ」

「あっそ」



短くそう答えると
南はまた歩き出して
うちを出て行った。



なんなのあいつ~!
すっごい腹立つ!!



あたしと星也さんは
揃ってふくれっ面だった。