「杏?どした?」
「あたし、誰に
運ばれてきたの?」
「えっと…それは…」
???
なんだろう。
亜湖は妙に
歯切れが悪い。
「オレ」
和斗がスッと
手を上げた時、
亜湖がバッと
和斗を見た。
「杏が遅かったから
オレが様子見に行ったら
杏、倒れ込んでた」
「そっか。ごめんね」
でも何かな…。
なんかモヤモヤする。
あたし…
運んでくれた人の顔、
見た気がするんだけど…。
それにさっきの亜湖も…。
「もう帰れるか?」
「あっうん」
「じゃあ行くぞ。
…無理すんな」
「うん」
あたしはとりあえず
気にしないことにした。

