「…まけたかな」





星也さんはあたしが
入った教室の前を
通り過ぎて走っていった｡








「なんか走ったら
涙乾いちゃった」





あたしは冷静になって
考える。







あれじゃきっと
クラスのみんなは
もう味方して
くれないだろうな。



何よりうちが
ヤクザなのは
事実なわけだから

みんなの考え方が
変わらない限り
どうにもならない。



と言っても
みんなあたしの
言葉なんて
聞いてくれないし…。







一瞬頭に
亜湖や星也さん、
南の顔が浮かぶ。





でもあたしは
ブンブンと頭を振った。