きっと――こんな風に、じっと耐えていたりは、しないだろう。

「……はぁ……」

溜息をついて、いつもの癖で、胸元を押さえる。

心臓がきりきりと痛む時には、いつも、そうするのだ。

そうすれば、落ち着いたから。

けれど――今回ばかりは、違っていた。