「日向君…?」 水槽の表面に移る星野を間接的に見ていたのがバレたのだろうか。 俺は、焦ってしまう。 心の中だけだけど。 「…どうかした?」 俺は、動揺しているのがバレないようになるべく無関心っぽく返した。 「海亀、好きなんですか?」 俺の目の前には、水槽の中で緩慢な動きをする海亀が居た。 それは、水槽ごしに俺を見ていた。 「…いや、あぁ…うん」 海亀好きの男。 俺は、星野の中でそういう位置付けになっているのだろうか。