それから他愛のない話をして私は夢から醒めた。 渇かしておいた折り畳みの傘が窓際に置いてある。 「……返すの忘れてた」 言ってから私はつい笑ってしまった。 (あれは夢だ。) 夢だから有り得ないことも起きる。 傘はちゃんと現実で返さないといけない。 その傘を手にとって鞄の中にしまいこんだ。 「晴子ちゃ、あ。ヤベ。……天川さん!」 またも図書室の前で、私は呼びとめられた。 「……だから、どっちでも良いって……」 私は無意識に夢と同じ態度で接してしまって、慌てて口をつぐんだ。 「え?」