「また、こちらにお伺いしても……?」

早口におたずねになるのを、少女は少し笑って、

「かまわないわ。でも、日が暮れてから。殿方はそうするものと、伺っているわ。違って?」

そう返すので、一の君も、ようやくのことお笑いになって、

「いえ、おっしゃる通りですよ。けれども、あなたのように愛らしい姫君をお訪ねするのに、月明かりでは心もとなくて」

そのようにおっしゃるのでした。