アタシが手を洗いに行ってる間、
お母さんは熱いお茶を入れてくれていた。
それを手にとってふーっと息をかけて飲む。
あちち・・・。
「こないだ百貨店の地下で買ったクッキーが残ってるはずやからそれ出そうか?」
「うん」
アタシは二つ返事で答える。
そしてお母さんがクッキーをお皿に出してくれて
テーブルに置きながらこんなことを言った。
「そうそう、
このクッキー買ったとき
すごく珍しい人に会って・・・」
「だれ?」
「覚えてる?
ホラ、美月、小学校のときから好きって言ってた男の子・・・
事故で亡くなったけど」
クッキーを取っていた手が止まる。

