切ナクテ、恋シイ、ヒト。


アタシは右手でケージを落とさないように大事に抱えて

左手は仕方ないので優の腰に回していた。





彼の体温が伝わってくる。


アタシの体温も彼に伝わってるんだろうか?





そんなこと考えるだけでドキドキする。






「どっち?」

彼の声に我に返る。




「あ、あっと・・・
そっち右に入ってまっすぐ・・・」




自転車がカーブを切ったとき

アタシはバランスを崩しそうになり捕まっていた左手に力を入れて無意識に彼にぎゅっとくっついた。


「美月の胸・・・当たってるって」

優は笑いながらアタシに言った。





「な・・・!
何言うてんのよ!アホ!」

アタシは真っ赤になって怒る。