廊下を引きずられるようにしてついていく。
「ちょ!痛いから離してや!
どっこも逃げへんから!」
アタシの声が聞こえてるはずなのに
彼は掴んだ腕を緩めようとしない。
そして黙って引っ張っていく。
アタシはあのとき
「大丈夫」
なんて言った事をちょっと後悔しはじめた。
こんな奴、
アタシが何言ったって言う事聞くような奴じゃない。
彼は地下の図書室へと連れて行った。
土曜の放課後の図書室はもう誰もいないようだった。
「さ、ここだとゆっくり話ができる」
彼はそう言いながら机の上にひょいっと座った。
背の高い彼がそういうところに位置すると
アタシは彼を見上げる姿勢になる。

