切ナクテ、恋シイ、ヒト。


泣きそうになるのを我慢しているせいか頭がぼうっとする。


彼はアタシをきつく抱きしめながら言った。

「オマエ、バカじゃないのか?」



でも。

そんな言い方だったけれど彼の声はとても真剣で・・・。




「な・・・なんでよ?」

アタシは泣き声になるのを悟られないように・・・

やっとの思いでそう答えた。




「あれから何年経ってる?いい加減に気づけよ。
周りをもっとちゃんと見てみろ。
今見えるこの世界がすべてなんだ。

オマエの好きだったユウって奴もここにはいない。
いないことを受け入れるんだ。

死んだ奴は二度と帰ってこないんだ」



彼の放つ言葉が次々アタシのこころを深く刺す。