「運命は、絶対ではない。
　汝、我に、その運命を回避するための術を示したまえ。」



彼は、再び、カードのシャッフルを始める。
瞼を閉じ、意識を集中させていく。
そして、ふと手に止まったカードを引いた。


























「愚者、……か………………。
　なぁ、恵、これ、どう思う？」



彼の正体は、占い師。
だけど、ただの占い師じゃない。



































彼は、タロットカードで言うならば、
さしずめ、隠者、と言ったところだろう。
状況を正確に見極め、進むべき道を示す。
すなわち、洞察と、啓示。
孤高を愛する、その隠者が、唯一傍に置いた彼が、恵。
それは、前世からの宿命かもしれないし、
単なる偶然かもしれない。
とはいえ、導く者隼人と、導かれる者その他大勢。
この時代では、それが至極当然の事なのだ。