内容の重さに僕は何も言うころができなかった。

決して他人事ではない話なだけに、僕もユキもうつむいたままだった。


食事中シンにかかってきた電話は、シンの彼女からだった。

シンは昨日、彼女に別れ話をしたのだと言う。

そして、今日、

彼女が手首を傷つけて死のうとした・・・・。

お腹には赤ちゃんがいるかもしれないと彼女は泣きじゃくっていたそうだ。


突然の別れ話ではなかった。

3ヶ月くらいうまくいってなくて、体だけの関係でお互い傷付け合う恋愛だった。

シンは泣きながら僕にこう言った。

「俺、どこで間違えたんだろう・・俺、やっと素直になろうと思ったのに。俺、もうユミちゃんに好きだなんて言えねーよ・・。」

神様は残酷なことをするものだ。

シンはユミちゃんへの気持ちをやっと打ち明けようとしていた時だった。

彼女の手首の傷は、命に関わる程のものではなかった。

シンの気持ちを自分に向ける為だったのかもしれないが、それほどシンを愛しているということは確かだ。

「赤ちゃんには罪はないもん。赤ちゃんは、幸せにしてあげなきゃ・・」

ユキは夜空を見上げて星に向かってそうつぶやいた。