僕は、翌日晴れて、免許取得の夢を実現した。



お父さんから借りた型古のクラウンは、まだ若い僕には不釣合いだと自分でもわかってる。


いつか、僕のお金でユキと2人で車を選びに行く日が待ち遠しい。

僕は、近所の遊び慣れた公園の周りを2周してから、ユキの家へと車を走らせた。

CDくらい用意すれば良かった。


お父さんとお母さんが最近ハマっているらしいジャズのメロディーを聞きながら、なるべくかっこつけて運転した。

初心者マークでクラウンに乗っているというのは、かなり恥ずかしいものだ。


改造しているわけではないが、なぜか窓にスモークを張っているこの車は一見イカつく見える。


あの坂道の先を曲がれば、ユキの家が見える。

まだライトを点けていいのかどうかも初心者の僕にはわからない時間帯。

周りの車に、合わせてライトを点ける。


お決まりの間違いをしてしまった・・・。

ワイパーが動き出し、僕は一人で笑った。


緊張が解けたところで、信号が青に変わる。

何度も通ったこの道を初めて車で通るこの新鮮な気持ち。

薄暗い雲の隙間から、うっすらとオレンジ色の夕日が見える。


僕は、慎重に車を停車した。


高鳴る鼓動と、溢れ出そうになる不安でいっぱい。


僕は、大きく息を吐いて、ユキの家のチャイムを押した。