人の気持ちの変化って恐ろしい。
つい、ちょっと前にユキのお父さんが施設を出たとき、ユキはお父さんの気持ちを変えた僕のこと、惚れ直したって言ってくれたのに。
卒業してから、離れ離れになっても、ちっとも不安なんかじゃなかったのに。
ユキを遠く感じたことなんてなかったよ。
離れてても、会えなくても、いつも近くに感じることができていた僕とユキだったのに・・・
これは、忙しいからじゃない。
何かが変わったんだ。
ユキの僕への気持ち・・・が変わってしまったとしか思えない。
チラつくあの男の顔をかき消すように、僕は車の免許の資料を集めたっけ。
ゆうじと大野君が僕に会いに来てくれたあの日に、僕は水野さんの家に行った。
誰もいない大きな家は、なんだかとても寂しそうだった。
やっとつながった電話に出たのは、みずきさん。
ごめんね、ごめんねと謝るみずきさんが、水野さんに電話を渡す。
久しぶりの大好きな声は、とても元気がなく、まるで違う人みたいだった。
最後にこの言葉を言われた僕は、心にぽっかりと穴が開いたようだった。
『しばらくは会えない』