「待って!!!・・・ユキ!!!!」


僕は細いユキの腕を掴んだ。


「いいよ。家で待ってるから、戻りなよ。」


ユキは僕の顔を見ようともしなかった。


「ごめん・・・バイト終わって、から揚げの練習してたんだ。それで、あそこで食べてただけだよ。」


「・・・あれがさゆりさん? 綺麗な人だね。勝手な想像だけど、さゆりさんっておばちゃんだと思ってた。」


ユキの声は、今にも泣き出しそうな弱々しい声だった。


「ごめん・・誤解させるようなことして・・。」


「もういいよ。来なきゃ良かったね。来なきゃあんなハル見なくて済んだのにね・・。今日は、実家に帰る・・ごめんね。」


ユキの目は僕を軽蔑しているような目だった。

風が僕の心に染み込んでいく。


「ちょっと・・待てよ。ちゃんと仲直りがしたい。」


ユキの腕を掴んだが、スルリとユキは逃げる。


「・・・ごめ・・ん。明日の夜、また話そう。今日はハルとは、一緒にいられない。あんなに嬉しそうに話すハル・・・誤解だって言っても私にはわかるよ。」


ユキは、目に涙を溜めながら、作り笑顔で僕を見た。