入道雲の間から、ぐんぐんと延びる飛行機雲。

迷う事なくまっすぐに進むその雲に、懐かしい笑顔が重なる。



あれから、何度眠れない夜を過ごしたことだろう…



「もっと長くできないのかな?」

「いいよ。そんなに長いと緊張するし、短くていいの。」


「ダメだよ!ユキはわかってない。バージンロードは父親にとっては、娘が生まれてきてからの思い出を思い出しながら歩く大事な道なの。」


バージンロードの長さで僕とユキの意見が食い違う。


僕は、ユキとお父さんを少しでも長く歩かせてあげたい。

いろいろあった親子だから、よけいにゆっくりと歩いてほしいというのが僕の願い。

こんなに早くに娘さんをもらってしまう僕からのせめてものお父さんへの償いの気持ち・・。


その式場では、それ以上長くできないとの事で僕はがっくりと肩を落とす。