初夏を迎える頃、ぼくはやっとゆうじのお墓参りに行くことができた。


そして、ゆうじが亡くなってから発売されたアルバムを、やっと聴くことができた。



そのアルバムの最後の曲のタイトルは、『友へ』 

死んでしまうことをゆうじはわかっていたのかと思うような歌詞。

かなり前に書かれたであろうその歌詞に、ゆうじの死への恐怖や辛さは感じなかった。

ただ、みんなへの感謝やありがとうの気持ちだけだった。


「ハルへの歌だよ、きっと。」


ユキは泣き虫の僕を抱きしめてくれる。



「ユキ、僕らがゆうじを忘れない限り、ゆうじは生きてるんだよな。」


ユキは、涙をこぼさないように上を向きながら、頷いた。