『もしもし、ハルか??俺!!覚えてる?寛太だよ。』


元気いっぱいの懐かしい声に、思わず笑顔がこぼれる。


『覚えてるよ!!久しぶり!!元気か?』


『ハルに報告!!俺、ガキ生まれたよ!女の子だった。もうたまんね~よ。かわいくって。』


今朝から、やけに子供ネタが多い。

父親になろうと頑張ってる僕の周りの2人の友達に触発されたのか、僕は結婚のことばかり考えてしまう。

『おめでと~~!!!予想的中じゃん!女の子か~!寛太に似ないといいな。』

『俺に似てるんだよ、それが!サルみたいなんだけどかわいいの。毎日変わるんだよ、顔が。』


寛太は、無邪気な子供のようにはしゃいでいた。


『明日会えない?合宿で会ったやつらに連絡取って、集まろうぜ!』



学校と家との往復だけの日々が続いていた僕にとっては、新鮮な提案だった。


翌日、僕はユキを連れて寛太の家に向かった。

車の中でユキが突然思いついたこと。

「ねぇ、水野さんとみずきさんも誘ったら?」

僕はユキの機転の利いた一言に、また惚れ直してしまう。

「さすが、ユキだな!!」

「だって、精神科の先生とかいるんでしょ?それに、寛太君の奥さんもパニック障害だって言ってなかった?」


僕より数倍記憶力の良いユキに、僕は尊敬にも似た気持ちが湧き上がる。


僕の計画では、今日の帰りに結婚について話したいって思ってる。


ユキの気持ちを聞いた上で、ちゃんと改めてプロポーズしようと思う。