風の通り道

ここでは風が絶対に止まない

ザワ…

ザワ…

木々を揺らす風



でも神社の境内では風がなかった…

まるで俺たちに対して遠慮するように。



『あんた誰…?』

俺たちの周りは時が止まったような静寂に包まれていた。

俺の声だけが響く。


「ホントに忘れちまったんだな…」

少し悲しそうにやつは笑った。

俺まで悲しくなった。

だけどホントにわからないんだ…。


「おいおい!お前まで悲しそうな顔するなよ!なっ?
では改めて。
我こそは愛宕(アタゴ)を治めし風頭(カゼガシラ)の風雅(フウガ)ぞ。
以後見知りおけ!」

「よっ!!お頭ぁぁ!!」

周りから声がした…

奴に見入ってたせいなのか周りにたくさんの奴らがいた。

俺はギョッとした

すると周りのやつらが何か騒ぎ始めた。

「お頭!!ホントにこの人間があのウルフなんですか!?」

状況が飲み込めない俺がポツリと立っている…

風雅は

「バカヤロゥ!!てめぇら俺の客に失礼だろうが!!」

「ひぃぃ!すみませんでしたお頭!!」

コメディか?てかどこの組なんだ?

謎は深まるばかり…