吸血鬼と紅き石

自分の父である彼の友人の仇は討ったのだ。

もう自分を狙う吸血鬼はいないし、また彼の居城で一緒に暮らすこともないだろう。

素直に、寂しいと思った。

もう自分は彼の傍にいる理由がない。

長かったようで実は短い間の、夢のような生活はこれで終わってしまうのだろう。

「リイエン?」

(きっと、最後だから)

いつまでも己の手を取らない自分を訝しがる、灰銀の吸血鬼をリイエンは見上げた。

極上の青年と目が合った。

最後だから、素直になってやろうと思った。

「リイ、」

「…大好きよ、レンバルト」

彼の手を取って立ち上がり、自分の名前を呼ぶ声遮って、リイエンはそう告げた。