吸血鬼と紅き石

「…もう!いつもそうやってからかってばっかりなんだから!」

知らない、とばかりにリイエンはそっぽを向く。

そんな自分を笑って見つめる気配がする。

「ほら、帰るぞ」

その気配に唇をさらに尖らせた少女の前に手が差し伸べられた。

目を上げれば長身の青年が優しい眼差しで自分を見ている。

(ああ、弱いなぁ)

どんなに怒っていても、彼のこの目を見たら許してしまうのだ。

(もしかしたら…もうレンバルトとは会えないのかしら?)

ふと過ぎった思考に、チクリと胸が痛んだ。