吸血鬼と紅き石

父や母、そして兄妹に会いたかったのだと、泣きじゃくっていたターニャの姿を思い出した。

自分も何か、出来ればいいのに。

この優しい子ども達を、両親や兄弟に会わせてあげたい。

思うだけで何も出来ない自分が悔しくて、リイエンは唇を噛んだ。

「リイエン」

そんな少女を傍らから呼んだ青年は、再び懐へと手を差し入れる。

そこから出て来たのは―――

「…あ、何、で…」

その石が持つ色彩に、リイエンはただ驚くことしかできない。

だってそては赤…いや、血のように紅い、彼が自分で吸血鬼を滅ぼすと言っていた、あの紅き石なのだから。

確か自分も持っていたはずだ、と石を入れていたポケットを探ってみるも、何も入っていない。