「このまま俺に嬲られて滅びるのも勝手だが…少しは足掻いて愉しませてみろよ」

その位はできるだろう、と己の指を濡らす赤い滴りを指で舐め、レンバルトが挑発する。


その言葉にザーディアスはギリ、と歯軋りし、黒い二つの闇に怒りを滲ませた。

男の指がレンバルトに刻まれた首の傷をなぞる。

それと同時に口を開いていた傷は、まるで攻撃されたことを忘れたかのように閉じて、癒されてゆく。

「俺を挑発したこと…後悔するなよ、レンバルト」

その口から機能を回復させた喉を震わせ、声が漏れる。

「ハ、後悔するのはお前の方だろう?」

それに対してレンバルトから返るのは、相変わらずの余裕の答え。

クツリと闇を震わせたのは、どちらの笑みか。